安全性の検討は以下の項目で行わなければならない。
@滑動に対する安定性A転倒に対する安定性B支持地盤の支持力に対する安定性
C全体の安定性D躯体の応力度の検討E基礎力の応力度の検討F排水工の検討G付帯設備の検討
そのあと@構造形式の選定A基礎形式の選定B設計条件の整理C標準設計図が利用できるか検討
D地震時の影響の検討(高さ8mを超える擁壁もしくは重要な擁壁)E断面形状の仮定
F荷重の計算と組合せF安定性の検討G部材の応力度検討H構造細目の検討
・砂質地盤→N≧20程度→支持層 それ以下の場合は総合的に検討
・粘性土
→N値が10から15程度以上あるいは、一軸圧縮強さqu>100〜200KN/m2(10 〜20tf/m2)の地盤は支持層
粘性土の場合、一軸圧縮試験によって粘着力Cを求める。
C=1/2qu
C:粘着力(kN/m2)(tf/m2)、qu:一軸圧縮強さ(kN/m2)(tf/m2)
粘性土、砂質土について、乱さない資料、突き固めた試料をもとに三軸圧縮試験をおこないC、φを求める。
S=C+θtanφ
S:せん断強さ(kN/m2)(tf/m2)、θ:せん断面に作用する全垂直応力(kN/m2)(tf/m2)、C:土の粘着力(kN/m2)(tf/m2)、φ:土のせん断抵抗角
粘性土の粘着力C=6N〜10N(kN/m2)、0.6N〜1N(tf/m2)
砂質土のせん断抵抗角φ
φ=15+平方根(15・N)≦45°ただしN>5
レキ質土・・・φ=35°砂質土 ・・・φ=30°粘性土(ただしWL<50%)・・・φ=25°
この場合は粘着力は無視する。
自然地盤・砂及び砂礫<緩いもの>18<密なもの>20
自然地盤・砂質土<緩いもの>17<密なもの>19
自然地盤・粘性土<緩いもの>14<密なもの>18
盛土・<砂及び砂礫>20<砂質土>19<粘性土>18
・現場打ちコンクリート擁壁φB=φ
・プレキャストコンクリート擁壁φB=2φ/3(ただし、基礎コンクリート及び敷きモルタルが良質な材料で施工されている場合は、φB=φとしてよい。)
*なお、支持地盤が土の場合及びプレキャストコンクリートでは摩擦係数μの値は0.6を超えないものとする。
岩または礫とコンクリート 支持地盤<岩盤>μ=0.7<礫層>μ=0.6 付着力は考慮しない
土と基礎のコンクリートの間に割り栗石または砕石を敷く場合 支持地盤<砂質土>μ=0.6<粘性土>μ=0.5 付着力は考慮しない
・重力式擁壁、もたれ式擁壁について、安定性及び部材応力は、土とコンクリートの摩擦角で検討して、壁面摩擦角は、以下のとおりとする。
壁面摩擦角=2×φ÷3
・片持ちばり式、控え壁式について、安定性は土と土の摩擦角で部材応力は土とコンクリートの摩擦角で検討しえ、壁面摩擦角は、以下のとおりとする。
壁面摩擦角(土と土)=斜面の角度
壁面摩擦角(土とコンクリート)=2×φ÷3
安全率F=(滑動に対する抵抗力)÷活動力=(ΣV・μ+c・B)÷ΣH
ΣV:底版下面における全鉛直荷重(kN/m(tf/m))
ΣH:底版下面における全水平荷重(kN/m(tf/m))
μ:擁壁底版と支持地盤の間の摩擦係数
c:擁壁底版と支持地盤の間の粘着力(kN/m2(tf/m2))
B:擁壁の底版幅(m)
チェック項目 安全率F 常時で1.5以上、地震時で1.2以上
(港湾の施設の技術上の基準・同解説:滑動、常時1.2以上、地震時1.0以上)
合力Rの作用点の底版中央からの偏心距離eの作用点は以下の条件を満たさなければならない。
・常時は、底版中央の底版幅1/3の範囲内になければならない。
| e |≦B/6
・地震時は、底版中央の底版幅2/3の範囲内になければならない.。
| e |≦B/3
擁壁底版つま先から合力Rの作用点までの距離
d=(ΣMrーΣM0)÷ΣV=(ΣVi・aiーΣHj・bj)÷ΣVi
ΣMr:擁壁底版つま先回りの抵抗モーメント
(港湾:常時1.2以上、地震時1.1以上)
地盤の許容支持力度=極限支持力度÷安全率
地震の支持力に対する安全率は常時で3、地震時には2を下回ってはならない。